六甲山から有馬温泉へ。
多くの登山者に愛される魅惑の山旅

エリア:兵庫県神戸市

YAMAPスタッフ

齋藤光馬(さいとう・こうま)

日本三大夜景のひとつとして有名な兵庫県神戸市。その夜景を一望できる六甲山。この山は観光地やドライブコースとして有名だが、登る山としても多いに魅力がある。

実際に六甲山は、YAMAPでも地図のダウンロード数が多く、人気の山だ。神戸だけでなく、関西からのアクセスも良いこの山は、登山初心者にも挑戦しやすい。

神戸の街は、学生時代の一人旅で訪れたことがある。青春18きっぷを握りしめ、車窓を流れる大きな六甲の山をなんとなく気になって眺めていたのを思い出した。いろんな場所を見てみたいと電車で日本を縦断したあの時と同じように、阪急電鉄に揺られている。

 

芦屋川駅北口を出ると、たくさんの学生が通学のバスを待っている。ハイカーたちも何人かいるようで、靴紐を結び直している。緑が色濃くなった六甲山を見上げる。今日はここから、山に登っていく。六甲山最高峰を経て、有馬温泉へと降りるルートだ。駅前でトイレを済ませ、さあ出発だ。

 

”高座の滝、ロックガーデンを経て、山頂へと向かう”

芦屋川沿いを山側に歩き、住宅街の間を抜けていく。いたるところに道標があり、迷うことはなさそうだ。

 

”山仲間が、芦屋川の魚に夢中になっていた”

芦屋の高級住宅街を抜けて振り返ると、遠くには小さくなった街と海が見える。静かな林道を進み、ロックガーデンの入り口に入ると、高座の滝の音が聞こえてくる。

 

なんだか懐かしい売店の雰囲気に安心をする。自動販売機で飲み物を買い、ベンチに腰を掛け滝の音に耳をすませてみる。

高座の滝は、落差10mの小さな滝のため、滝壺まで行き水に触れることもできる。滝から流れてくるひんやりとした空気が、火照りだした身体に涼しく染み渡ってくる。

滝の左上の岩には、藤木九三氏のレリーフがある。ロックガーデンの名付け親でもある彼は、この場所を日本のロッククライミング発祥の地にしたそうだ。

 

”この日の高座の滝は、柔らかな流れだった”

YAMAPをみると、ここからは急峻な登りが続きそうだ。滝の音を背に、再び登り始める。

 

高座の滝からは起伏の大きな岩場の登りの連続で、まさにロックガーデンといえる景色が40分ほど続く。花崗岩の岩肌が特徴的で、登りがいがある。全身を使いながら、気をつけて登りたい。

 

ロックガーデンのゴールは、風吹岩という塊のような大岩だ。岩の上に登ると、美しい眺めを一望することができる。行き先には六甲の山々が広がり、眼下には瀬戸内の海と神戸の街並みが広がる。

 

山頂へは変化に富む道が多く、歩いていて飽きない多様さがある。沢の渡渉や、樹林帯ながら谷に挟まれた稜線もある。うぐいすやホオジロのさえずりは、都会の喧騒を忘れさせてくれる。

沢を再び渡渉すると、七曲りという急な登りに出る。そこを越えると、山頂まではもう一息だ。山頂の手前では、一軒茶屋という老舗の茶屋が、出迎えてくれた。

 

”瓶のサイダーが、疲れた身体に染みる”

一軒茶屋を後にし、六甲山山頂に至るため、車道を横断する。舗装路を5分ほど登ると、自衛隊の建物が見える。いよいよ山頂だ。

 

”山頂の達成感は、歩いた人にだけしかわからない”

六甲山には、荒廃と再生の歴史がある。

この山には過去、禿山の時代があった。平安時代には一の谷の合戦があり、中世にはすでに荒廃が進んでいたという。その結果、土砂災害なども多く、人々にとって悩みの山だったそうだ。時代は流れ明治になり、治山砂防の整備や森の植林がされるようになった。そして現在のように緑が豊かになり、多くの方に愛される山に生まれ変わったのだ。

歴史に思いを馳せながら山頂を味わうと、達成感にもまして、素晴らしい山を登ってきたのだと感謝をしたくなった。

 

”六甲の山々をつなぐと30キロを超える”

素晴らしい眺望の山頂を後にして、有馬温泉街へと下山を始める。この下り道がとても歩きやすい。木々が生い茂るなだらかな道を1時間ほど下れば、木々の間から立ち上る湯気が見えてくる。

 

有馬本街道(湯本坂)には、お土産屋やカフェなどが並ぶスポットがある。炭酸せんべいをパリパリと食べながら、温泉を探す。日本三大名湯のひとつに数えられる有馬温泉は、日帰り入浴も盛んだ。今日は有名な、金の湯に入ろう。

 

金の湯の源泉は強塩泉のため、お湯に含まれる鉄分が酸化して金色に見えるそうだ。熱い温泉が、疲れた身体を癒やしてくれる。金の湯以外にも多くの温泉があるので、ぜひ自分好みの温泉を見つけてほしい。

 

神戸電鉄有馬温泉駅が、この旅のゴール。スタートから数えると、およそ6時間が経過していた。初めての登山だという同行人も、登りは少し大変だったけれど、山頂の達成感と温泉の気持ちよさに大満足だと嬉しそうに語っていた。

電車に乗り出発を待っていると、雨が降ってきた。梅雨入りだろうか。四季の隙間に歩いた六甲山は、すっかり厚い雲で見えなくなっていた。

この山は、ぜひまた来たいと思う。ロックガーデンをよじ登り、一軒茶屋でカツカレーを食べ、ゆっくりと下山をする。そして有馬の温泉に癒やされる最高の山旅を、多くの人にも勧めたい。

電鉄がゆっくりと動き出し、入梅の有馬をあとにした。

この記事を書いた人

齋藤光馬(さいとう・こうま) YAMAPスタッフ

山岳部として山中心の青春時代を過ごし、大学在学中に世界一周の旅へ出発。南米パタゴニアでの大自然に感動し、自らの経験を活かしアウトドアの文化を広く伝えたいと、2019年4月に初の新卒としてYAMAPに入社。

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